.実走行とジェットセッティング

【1】低回転域(低速域)
 各キャブの同調と開き始めがしっかり調整されていることを前提に、アイドリングからゆっくり走り出し3速2500rpm前後で走行してください。この時キャブから不均一に吹き返しがあったり、気持ちトルク感がないかな?と感じたらパイロット(アイドリング)ジェットを5番手上げてください。また、アクセルOFFした時にマフラーからパンパンと音がするようであれば同様に上げてください。ここでパイロット(アイドルアジャスト)スクリューの微調整をおこなうのが本当ですが、ほとんど変化がないので次の作業に移ります。もう一度同様に走行してみて良い方向であればもうワンサイズ進行させ良否を判断し、ここでスクリュー微調整します。同時進行でプラグもチェックしますが、参考にする程度で絶対ではありません。あくまでも走行フィーリングで決めます
【2】中間回転域(中速域)とポンプジェット
 低回転域から中間回転域にかけてつながりが悪い(谷がある)のは大口径キャブ、大径アウターベンチュリーによって生じてしまう場合もあるが、今回は標準的なサイズを選択してあることを前提として進めます。
まず暫定セットで3000〜5000rpmを2速3速できれば4速でゆっくりと引っ張り、流してください。同一の回転数に谷があるようであれば、パイロット系からメイン系に移行する際にかなり濃い(薄い)状態になっているので、パイロット系を固定としメインジェットを20番手上下させます。良い方向(変化がない)であればもう20番手上下します。10番手程度の上下では判別できません。谷が消えたところでこれ以上行っても多分わからなくなるのでいったんここでストップします。
 次にポンプジェットの選定をします。走行中ギアチェンジしたり加速したりとアクセルのON,OFF時には常に作動するのでスムーズな走行フィーリングには重要なポイントです。まず 1〜3速で少しラフな(峠やクローズサーキットのような)アクセリングをしてみます。踏み込み直後にいつも一瞬の息つきがあるのは明らかに足りないかもしくは加速ポンプ不良です。この場合は5番手上げます。加速ポンプ不良は論外で後で説明します。踏み込み直後いつもレスポンスが悪く(重々しく)回転上昇する感じであれば濃いので5番手下げます。濃い場合にも息ついた感じにはなりますが、足りないときよりは少しナローな感じです。息つき感が無くなったら、そこでもう5番手上下して、パワー感のある方を選択します。もし仮にメインジェットと重なり始めたところがちょっと重いかなと感じてもメインを10〜20番手下げてもアクセルONのパワー感を重視します。
【3】高回転域(高速域)
 高回転域に関してはメインジェットとエアジェットの選定になりますが主にエアジェットなので【2】で仮決定したメインジェット固定で進めます。まず暫定セットで4速全開で(最高出力回転数)まで引っぱる、1〜3速では勢いで回ったりポンプジェットの影響があったりするのでダメ。この時の状態を明記して30〜40番手下げて濃い側に振ってみる。過濃による高回転域の出力低下は回転が伸びなくて頭打ちになるのでわかります。このように一度確実に過濃な状態をつくりそれから20番手づつ上げます。今度は過薄の場合は力感がなくなりそれ以上はまた頭打ちというよりは回わっていかなくなくなります。伸びがシャープになったかなと思える手前で止めるのがベストです。NAの場合まずエンジンブローはありませんが、若干濃い目の方が安全とは思います。
 言い忘れましたが、実走行に入ってからは各ジェット番号を表にし、毎回コメントを書くようにすることをお勧めします。

 実際にはプロでも何度ともどってやり直しをします。また、走る条件や走り方によって設定も多少異なることも事実です。ですからこのセッティングが100%他はダメというものではなく不調なキャブセッティングで不快に感じている人に少しでも役に立てればと思い書いた次第です。まだまだ書き加えなければいけない説明やパートがいっぱいありますが次回にします。
 最後は少し勇み足になってしまいましたが全体としてはこんな感じです。ご理解いただけたでしょうか。
 また、話は変わりますが、夏用セッティング冬用セッティングの差は確かにあります。しかしジェットセッティングにもアバウトな幅があります。その幅の中心にあれば夏も冬も別に支障なく乗れるし、そこがわかってこその夏 冬セッティングだと思います。

6.パワーポンプジェットの紹介 新たなパワー感とジェットセッティングの裏話

【4】付記(おまけ)

加速ポンプ不良について 長い間使用していないキャブ(中古)に良くあるトラブルです。空吹かしをして回転がついてこないのは多分これです。まずポンプジェットを抜いて吐出孔が詰まってないか確かめます。次にポンプジェットが入っていた穴をのぞきながらスロットルバルブレバーを動かして横の孔からガソリンが勢い良く吹き出ているか確認します。出てこないのであればキャブ下のポンプユニットをバラして詰まりを取り除きます。下の写真参照(ソレックス編)
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1.四角の中の6個のプラスねじを外す。ただし中にスプリングが入っているので真中を押さえて外す。
2.バラすと中身はこんな感じ。
3.4.同一部品で裏表です。AとA、BとBとが良く通るように掃除します。特にBが詰まってます。Bの中にはチェックボールが入っていて、本体を振るとカタカタ音がすれば正常、しなければ確実に詰まっています。4のAは5のAにつながります。
5.のAは、ポンプジェットの横の孔とつながっているので、パーツクリーナー等で吹いて左右から噴出すか確認します。
6.ポンプジェットの横の孔から噴出しない場合は通路のチェックボールが固着してしまっているのでフロートチェンバーカバーを取り外し清掃するしかありません。この時、構成部品の小さなウェイトを無くさないように注意すること。
 読者の方々本当にお疲れ様でした。私はパソコン初心者なので違った意味で疲れました。ですから細かい質問に100%応答しかねるかもしれないことをこの場を借りて一言付け加えさせて頂きます。
                                  
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